機械学習に意思決定論? ③

機械学習に意思決定論? ③

<<前の記事に戻る

 

今回は、不確実性下の意思決定の手法の概論を行います。

ちなみに、前回扱った決定問題にも不確実性を入れて解放することは可能です。しかしこの場合、不確実性に伴う全ての可能性(結果)とその確からしさ(確率)をすべて盛り込んで解放することはできませんので、不確実性に伴う可能性とその確率を何らかの統計量(平均値、分散値、最大値、中央値など)に置き換えたものを使うことになります。

この回で扱う手法は、不確実性を不確実なまま分析の対象にするための手法である「決定木分析:Decision Tree Analysis」です。最近は、統計解析の一般的な手法として知名度が広まりましたが、そもそもは不確実性下の意思決定の理論として発達してきました。一例を以下に示します。この例は、不確実性下の意思決定論の教科書として1980年以降広く使われてきたHollowayの著書の中の事例を書き起こしたものです。

 

記事0824_3-1

図1:Recreational Properties社の Decision Tree Analysis

 

以下に、この事例を簡単に解説しますが、詳細については参照先(出典:Charles A.Holloway, “Decision Making Under Uncertainty:Models and Choices” Prentice-Hall, 1979, pp.34-36)をご覧ください。2005年春、リクリェーショナル・プロパティーズ社の社長ピータ・ラーソン氏は、今後2年間にわたって会社の業績を大きく左右する意思決定に直面していました。直面する問題とは、スキー場として開発を掛けようとしていたカリフォルニア州の山岳部の土地に関することです。この土地は、スキー場のゲレンデに相当する部分とスロープに相当する部分に分かれており、ゲレンデ部分は個人所有者が存在しますが、スロープ部分はカリフォルニア州林野庁が所有しています。

 

当初同社は、スロープ部分を林野庁が貸してくれることを前提に、2005年6月にゲレンデ部分を土地所有者から買い受けるオプション契約を結んでおりました。しかし、この開発地に近い別のスキー場の開発に対して環境保護団体が訴訟をおこし、その判決が2005年8月に降りることになりました。これを受けて林野庁側は、スロープ部分のスキー場開発への貸し出しに関して、2006年2月に公聴会を開くことになりました。このような状況の変化に伴い同社は、一定のペナルティを支払い、ゲレンデ部分の土地所有者に2015年12月までのオプション契約の延長を打診しています。

判決や公聴会の結果による林野庁の態度の変化が、どのようにものかは見えていません。また、同社のスキー場計画が始まると、スキー場として開発することなしにパッケージとして売却する案と、同社がスキー場として開発し一冬営業した結果を基に売却する案があります。もちろん、一冬営業した結果の内容は、売却価格に大きな影響を与えますが、その営業結果へは雪の状態などの不確実性が伴っており、どのような評判を得るかは不確実です。

図1のDTの中の□はラーソン氏が意思決定をしなければならない部分、○は不確実な要素と可能性、枝上の上には起こりうる事象を下には事象に伴う金銭的な額を、そして各枝の最後にはそれぞれの枝の事象を辿った時の最終的な利益を記入してあります。

 

さて、読者の皆さんは、このDTをどのように使いますか? 

また、意思決定に関してどのような効果があると思われますか?

 

次回は、このDTの効果や使い方について解説します

 

続きを読む>>