IoT、AI そして シンギュラリティ (1)

IoT、AI そして シンギュラリティ (1)

最近、毎日のように様々な媒体から、IoT、ATそしてシンギュラリティに関する記事が発信されています。これらの関係を要約すると、IoTにより既存の製品やサービスから様々な情報が発信されるようになると、それぞれの製品やサービスに関する顧客満足を向上させるためのAIによるCRMが提供されるだけではなく、それらの情報は現在のビッグデータを数十倍に膨れ上がらせ、もはやAIによる判断なしには情報相互の関係を処理できない状況になります。そしてこのような膨大なデータの処理を経験するAIの性能は、加速度的に向上し、今まで人にしかできないと思われている能力を人工知能が身につけ、さらには超えていく状態=シンギュラリティ(技術的特異点)を2030年代には迎えるというものです。

このような時代の趨勢の中でデータサイエンティストには、AIの機能向上のための論理的な構造への貢献が求められ、さらには分析手法としてディープラーニングなどを日常的に活用できる能力が求められるようになります。本稿では、これらのキーワードの概要と関係をまとめてみました。

 

米Google社のDirector of Engineeringも務めるRay Kurzweil氏が著書の中で定義したシンギュラリティとは、「テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来のこと」で、「特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能になり、運命を超えた力を手にすることになる」と表現しています。現在の国際社会は、Kurzweil氏が迎えるであろうと予想している2030年代のシンギュラリティに向かって、人工知能(AI)の開発研究の大きな波が押し寄せています。

図1

出典:日経テクノロジー 「人の支援から人間越えへ」

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/051300047/051600001/?SS=imgview&FD=105395

 

AIに関する研究・開発は、2010年以降、グーグルやフェイスブック、マイクロソフト、アマゾンといった米国IT(情報技術)企業が圧倒的に世界をリードしています。特にここ数年で急成長したのが、新しい技術と大量のデータを組み合わせたAI研究である多層型のニューラルネットワーク(例:CNN:畳み込み型)を中心としたディープラーニングです。多層型のニューラルネットワークでは、与えられたデータを基にAI自身で勝手に学習を繰り返していくというもので、データがあればあるほどどんどん賢くなっていく画期的な手法です。GoogleのAI「アルファ碁」も、このディープラーニングを使って囲碁のトップ棋士に勝つまでの実力を身につけました。

一方ドイツでは、国を挙げてAIを活用したIoT推進のため、製造業の世界における「第4の産業革命」を意味する「インダストリー4.0」に取り組んでいます。ドイツ連邦政府は、06年に「国家イノベーション戦略」を策定、11年に政府・経済界・学界が共同でインダストリー4.0の言葉を使い、国家プロジェクトとして推進する姿勢を明確にしました。13年に設立された推進団体には、シーメンス、ボッシュ、フォルクスワーゲンなど独主要企業約6000社と研究機関が参加し、規格の統一などを進めています。インダストリー4.0の一例として、機械化による生産性の向上のため生産ラインを仕切る「スマート工場」でAIが工程を細分化し、変わりやすい市場の要求に対しすばやく柔軟に低コストで多品種を作り分ける技術革新を追及しています。例えば、部品や資材の使用量・在庫量をリアルタイムで把握し、残量が減れば自動的に発注する‐‐またある工程でトラブルが発生すれば、警報を発し、他の工程が自動的に生産速度を変化させる‐‐さらに各工程の電力使用状況を把握し、最も効率的な電源の切り替えなどを行う−−といったものです。

このような世界の潮流と比較すると、残念ながらわが国の取り組みは大きく立ち遅れておりました。事実、東京大学の杉山将教授は、機械学習分野の国際会議では提出された論文の中で「日本人のメールアドレスが2%しかない」という状況を以下のシンポジウムで公表しました。この遅れを取り戻すべく、2016年4月25日に総務省、文部科学省、経済産業省傘下の研究施設(NICT、理化学研究所、AIST)が連携したオールジャパン体制で開催された「第1回 次世代の人工知能技術に関する合同シンポジウム」で、3省の大臣が顔を揃えて研究の連携をアピールし、国際競争への参戦を表明しました。また民間でもソニーは、2016年5月に、AI技術を開発するベンチャー企業の米Cogitai社への出資と、ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)を交えた3社での共同研究で自律的に成長する人工知能の開発を開始することを発表しました。

図2

 

 

出典:日経テクノロジー 「ソニーが自律成長するAI、米ベンチャーと共同開発へ」

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/320925/060700076/?SS=imgview&FD=-837758782

 

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